犬と猫

これは白服さんがtwitterに投稿したこちらのゲルたんと猫の写真から妄想した物語です

 

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「よし!いい感じ!!」
「お疲れ様ー」
「おつかれー」

今日は踊ってみたの撮影だった
スタジオからそのまま直帰らしくてその場でメンバーと別れた

今日は踊ってみたの撮影だけだったからいつもと違う時間帯の電車で少しだけ違和感を感じながら電車に揺られる
家は最寄り駅からそこまで遠くない
途中でいつも行くスーパーに寄っていつも買う惣菜を買って隣の行きつけの珈琲店でコーヒー豆を買う
そして家に帰る
これが俺のルーティン

でも今日はいつもと違った

家の玄関の前で何かが蹲ってる

「ねえ君、こんな所で蹲ってどうしたの?」

「……」

「パパとママ近くにいないのかな…」

「……」

「そんな警戒しないで大丈夫だよー」

「……」

「おいで。とりあえず中入ろ?寒いでしょ」

最近春が近づいてきて暖かいとはいえ
まだ3月。夕方は冷え込む。
そんな中ずっと外に放っておくのは気が引ける

「よし!一緒にお風呂入るか!」

「……」

まだ多分警戒されてるけど一緒に入るの嫌そうではなくて安心した

お風呂でその子を綺麗に洗ってあげれば汚れてた体も綺麗になって白くて綺麗な体が見えた

「よし!綺麗になった!」

その子の体を綺麗に拭いてあげて脱衣所から出る
ソファーに座ると俺の膝の上で丸くなって座った

「おっ!やっぱ暖かいねえ」

なんて言いながら出来るだけ安心させれるようにずっと撫でたりした
しばらくしてふと思ったんだ

「そういえば自己紹介してなかった!俺、フォーゲル!君名前は?」

「……」

「ま、聞いてもわかんないか…」

ずっと君呼びなのも距離感じるなあと思ったからこの際自分が名前をつけることにした

「んー肌白いし…んー…あっ!雪とかどう??」

「!……」

「おっ!嬉しいか?笑良かったあ…じゃあ君は今日から雪ね!」


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パパとママはどこかに行ったっきり帰ってこなくて
探すために何日も何日も歩いたから体も限界だった。
気づいたら誰かの家の前に来ていた

もう歩けないしここで休もっかな…
そう思った瞬間気が抜けてすぐに目を閉じた。

「ねえ君、こんな所で蹲ってどうしたの?」

そんな声で目が覚めた

「パパとママ近くにいないのかな…」

はあ…ねえパパ、ママ、どこに行ったの?

「そんな警戒しなくて大丈夫だから」

いや、別に警戒してるわけではないんだけどさ

「おいで。とりあえず中入ろ?寒いでしょ」

んーこの人悪い人じゃなさそうだし
助けてくれそうだし…
そう思って家に上がらせてもらうことにした

「よし!一緒にお風呂入るか!」

お風呂…?
あっ私知ってるよそれ
体を綺麗にする場所だよね
確かにずっと色んなとこ歩いて体はもう土だらけ
でも自分じゃ洗い方分かんないしやってもらお

あれからなんかシャワー?ってやつでバシャバシャされて

「よし!綺麗になった!」

って言われて鏡?ってやつで見てみたら自分の体がすごい綺麗になっててびっくりした

体もあったかくなったし多分この人はいい人だ
そう思ってその人の膝の上に乗った

どうやらこの人はフォーゲルというらしい
んーフォーゲル…ゲル…ゲルたん!うんこの人のことはゲルたんって呼ぼう

そして私の名前を聞かれた

でも私には名前なんてない
なんかブツブツ言ってるなーって思ってたらなんか勝手に名前を考え出した

『雪』

この人がそう言った
雪…可愛い名前…嬉しい…

今日から私は『雪』って名前になった

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あれから結構経ってゲルたんについて色々分かったことがある

1つ目はコーヒー?ってやつが好きですごいこだわってるらしい
私も飲んでみたいなあと思って1度飲もうとしたことがあるんだけど

「あっ!ダメだよ!雪はこれ飲んじゃダメ!」

って言われて止められた。

2つ目はなんか、すごい、犬みたいな人ってこと

新しいコーヒーのお店見つけた時なんか、

「ねえ雪!この前ね、すっごい美味しいコーヒーが飲めるお店見つけたんだー!」

とか言いながらすっごいキラキラした目で話すんだよ
なんかもう耳としっぽが見えた

3つ目は仕事がアイドルっていうやつらしい

よく家で音楽をかけながら踊ったり歌ったりしてる

4つ目は最近自分でご飯を作ろうとしてるらしくて料理が得意なぷんちゃん(ゲルたんがそう呼んでた)に教えてもらったりしてる

ぷんちゃんは私ともいっぱい遊んでくれるしなんといってもぷんちゃんの作るご飯は美味しい。

それでね私の中での決まり事もあって


「いってらっしゃい!」

「いってきまーす!いい子にしてるんだよ!」

「うん!」

こうやってゲルたんが家を出る時は毎回お見送りしてるんだ!
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「ただいまー!」
「!おかえりー!!」
「あはは今日も元気だなー!雪!」

いつもみたいに家に帰ってきたゲルたんの足をスリスリしてるとふとゲルたんの後ろにもう1人いるのが見えた

初めて見るなあ誰だろう

「あっ!この子が雪ちゃん??可愛いー!」

そう言ってその人は私の頭を撫でてきた
なんだかその人の撫で方はすごく心地よかった

「そうそう!雪?この人はあおいで俺の友達だよー!」
「雪ちゃん!初めまして!あおいだよー!」

へえ…あおいって名前なんだ

うん、この人はいい人だ。だって撫でられると気持ちいいし安心するもん。

「あははさすがあおい笑懐かれるのはや笑」

「てかなんかゲルたんと雪ちゃんってまさに___だよねー」


2人はずっとお喋りしてて楽しそうだなあなんて思いながら重くなった瞼を閉じた

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今日は朝起きてからなんか体が重くてずっとベッドで丸まってる

「雪ー!おはよ!ご飯食べよー」
「うわ!美味しそうー!…でも食欲無いんだ…」
「あれ?食べないの?どっか痛い?」
「痛くはないけどダルいんだ」
「えっどーしよどーしよどこか痛いのかな…えーとりあえず病院!」

慌ただしく動くゲルたんをじっと眺める

お医者さんによると風邪らしい

「良かったあ…なんか病気かと思ったよ…」
「ただ…」

なんかその後先生がゲルたんに説明してたけどよく分かんなかったや

あれからしばらく経ったある日
いつも通り朝起きてすぐ寝起きの悪いゲルたんのお腹に飛び乗った

「ぐへっ何!?ってなんだ雪か笑おはよお」
「おはよっ!」

そういっていつもみたいに撫でてくれるゲルたん
でもなんか撫で方がいつもの何倍も優しい気がした

「なあ雪ー今日レッスンなんだけどさ一緒に行くー?」
「え!いいの??」
「そんなに行きたかった?笑」

いつもお留守番だから一緒にお出かけ出来ると聞いてわくわくが止まらない!

「みんなやっほー」
「ゲルたんおはよー!ってあれ?今日雪ちゃん連れてきたん?」
「うん笑なんか離れたくなくて笑」
「なにそれー笑」
「いやさ…結構前に雪が風邪ひいちゃった時があって、それで病院行ったんだけど実はそこでさ…」

ゲルたんがなんか言った後ずっと遊んでくれてたあおいの手が止まってあれ?って思って見渡したらぷんちゃんは何故かちょっと泣きながらそっかあなんて呟いて私を抱きかかえた

変なのーと思いながらも今からレッスン?とやらが始まるらしくて私は大人しく壁の近くの椅子に丸まりながら練習する皆を眺めた

「雪ー!いい子にしてたかー?」

あれから眠ってしまってたらしく起きたら目の前にゲルたんの顔がドアップで現れてびっくりした

「雪また寝てたのー?笑」

あ、またその顔だ。

私は風邪をひいて病院に行った日から何故か寝ても寝ても寝足りなくてよく寝るようになった。
目を覚ましたらいつもゲルたんは笑いながら寝すぎだよー笑とか言ってくる

でもねなんか声は笑ってるのにその笑顔はなんだかぎごちないんだ。

何年一緒にいると思ってんのさ、ゲルたんのその顔が泣くのを我慢する時の顔だってことくらい分かるよ。

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ゲルたんは最近色んなところに連れていってくれる
本当はあんまりお外で遊ぶのは良くないんだって前お医者さんが言ってたからずっとお家だったんだけど何故か急にお医者さんがいいよって言ってくれたんだって。

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今日は雪の15歳の誕生日

どんな風にお祝いしようかなあとか考えながらルンルンでドアを開ける

でも家に帰ったらいつも玄関まで来てくれる雪がその日は来なかった

嫌な予感がした

「雪ー?また寝てるのー?」

どうか寝てるだけであって欲しいそう思いながら部屋のドアを開けた

「…!?」

そこからの記憶は曖昧でとりあえず雪を抱えてがむしゃらに走った。
これだけ走ってるのに一向に目を覚まさずにぐったりしてる雪に焦りは募るばかりで

病院について処置するからと椅子に座って待つように言われた


「…!先生!雪は…!!」
「…」

先生はゆっくりと静かに首を横に振った

世界がスローモーションになって頭が真っ白になった

 

「寿命ですね…」

 

猫の寿命はだいたい13〜15歳らしい

 

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「あははさすがあおい笑懐かれるのはや笑」

「てかゲルたんと雪ちゃんってまさに犬と猫だよねー」

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